蔵造り風の住宅が並ぶ旧街道沿いに建つ診療所。
街並みへの調和を図りながらも
長く地域に親しまれてきたシンボル性を備え、
多くの利用者を迎え入れる。
長年に亘って地元に根差し、多くの利用者に親しまれてきた診療所の建替え。
敷地周辺は、まちなみ協定が指定され、蔵造り風の建物が連なった街並みとなっている。
施主は、街並みとの調和を図りながらも新しい世代を迎えることを現すようなデザインを希望された。
また、新しい診療所は、従来のように患者同士が集える場所でありつつ、
次世代の患者も受け入れやすい建物の構えが求められた。
診療所は1階に診療施設、2階に住宅で構成される。
診療施設として外に開く部分と閉じる部分、住宅部分をそれぞれ別のボリュームとして分節し、
通り沿いに建つ家々のスケール感との調和を図った。
住宅は軒の深い片流れの大屋根で覆い、シンボル性と通りのスカイラインの連続性を生んでいる。
診療所のエントランスとなる下屋は、軒を斜め折り上げ、利用者を迎え入れる。
外観は旧診療所のパールホワイトを引き継ぐ色とした。
直線的なラインと独特な凹凸が特徴の外壁材を活かす為、縦貼りとした。
合わせてアール形状の水切りをランダムに配置することで、
日の当たり方で深い陰影や柔らかな陰影が重なるように、リズムと表情をつくっている。
旧街道沿いのまちなみと調和を図りながらも、
外部構成や素材の見せ方を工夫することで、
診療所に求められるシンボル性を備えた建物の在り方を表現した。